八代綜合法律事務所|熊本県八代市|弁護士・司法書士・民事/刑事事件・労働問題・交通事故・離婚問題・相続問題

今回は、次のご相談について考えてみたいと思います。

---ご相談内容---

今年80才になる私の母は、実家で一人暮らしをしています。今年のお盆に実家に帰ると、母の寝室に、見覚えのない新しい布団一式や、たくさんの健康食品がありました。また、合計約250万円の契約書もみつけました。
ここ最近、母は何度も同じことを聞いてきたり、昔から大事にしてきた花壇の手入れを怠りがちになったりしていて、これまでと様子が違っているように感じます。今後、母が高額の契約を繰り返さないか心配です。

●ご回答

①『成年後見人』という言葉を聞かれたことがあると思います。成年後見制度は、判断能力が十分ではない方のために、その身上監護や法律行為の代理を行う成年後見人を選任してもら
う制度です。これに似た制度として、保佐制度・補助制度があります。成年後見と同様に、本人の判断能力が低下している場合に、本人の法律行為などを手助けする保佐人や補助人を選任してもらう制度です。成年後見人・保佐人・補助人のどれが必要なのかは、本人の能力の程度に応じて検討されることになりますが、簡単に言えば、成年後見人の権限が最も広く、次いで保佐人、補助人の順となります。手助けする側の権限が大きくなればなるほど、逆に、本人が自由にできる法律行為の範囲は狭くなりますので、どの制度を使うかは慎重に検討する必要があります。

②保佐人の場合、本人が重要な財産行為を行うときに保佐人の同意が必要となり、同意なく行われた行為は保佐人が取り消すことができます。また、重要な財産行為に限らず、『通信販売及び訪問販売による契約締結』について、保佐人の同意が必要だという裁判所の審判を受けておけば、比較的少額の通信販売等でも、保佐人が取り消すことができることになります。
補助人の場合も、一般的には、本人が重要な財産行為を行うときに、補助人の同意が必要とされ、同意なく行われた行為は補助人が取り消すことができます。
ただし、保佐人の同意権(取消権)の範囲を広げたり、補助人をつけるときには、本人の同意が必要となるので、注意が必要です。

③今回のご相談の場合、お母様の様子からして、成年後見ではなく、保佐や補助が相当なように思われます。今後、お母様が高額の契約をしてしまっても、これを取り消すことができる権限をもつ保佐人や補助人を選任してもらっておけば、ご相談者の心配も小さくできるのではないでしょうか。

その他、既に締結している契約の処理や、今後のお母様の介護の問題など、総合的な検討も必要なように思われますので、一度、弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

※八代市の無料情報誌「やつしろぷれす」平成29年10月号に掲載されたコラムです。